転機

テレビで"教育を考える"系の番組が急激に増えてる。今日観た番組で不覚にも涙がポロリ。
主人公の一人は、中学三年生の男子。親は離婚しており、他に3人の年下の兄弟がいる。周りからは高校進学を勧められるが、最終的に就職を選び、鳶職の世界へ入っていく。
番組内では、彼の中学時代の恩師との涙の交流がメインだったのだが、自分が涙を誘われたのは少しポイントが違う。主人公の彼は、鳶職について一年半無遅刻無欠勤だと言う。これほど真面目に勤めている彼ならば、仮に高校へ進学したとしても、真面目に勉強し、卒業後の就職先は中卒の比ではない位あったと思う。
しかし、母親が一人で働いて4人兄弟を食べさせ、給料日前にはおかずも満足に出せない生活をしている彼には、高校へ行ってからの選択肢の多さよりも、すぐそこにある、鳶職の給料の方が魅力だったのだ。
その選択には、自己実現という高級な思考は関与していない。母が、弟や妹が苦しそうだから、自分と同じひもじい思いをさせたくないからという、もっと原始的な欲求がその判断を左右したのだ。
そこに涙した。
今、自分は充分に食べ、妻子も生活をしている。その上、自分の仕事に社会的な意義を見出せないものか、とも考えている。これは、幸せな事だ。
彼が不幸せかどうか解らない。
しかし、自分が彼よりも多くの選択肢を持っている事は確かだ。