東郷和彦氏

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会
東郷 和彦
新潮社
売り上げランキング: 57999
おすすめ度の平均: 4.5
5 歴史と戦う事
4 屈辱のメモワール
4 歴史の分岐点
5 広く読まれて欲しい本。

先だって読んだ、佐藤優さんの“国家の罠”に対してのアンサーブック・・・、と感じました。

この本の解説を、佐藤優さんが書いています。
解説から佐藤さんの読後感を引用します。

『本書には、拙著「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社、2005年)と共通の話題や出来事を書いている部分がある。率直に言って、東郷氏の視座の方が鳥瞰的だ。

中略

同じ出来事について私のように個人に徹底的にこだわった視座からの物語と東郷氏の鳥瞰的視座からの物語をあわせて読むことで、読者は冷戦後の北方領土交渉を立体的に捉えることができると思う。』


この読後感と同じ、感想です。

但し、北方領土の問題を細部に至るまで理解したわけではありませんがね。
北方領土交渉をたたき台に、国家間交渉も、巷のお隣さんとの土地境界線トラブルも基本変わらないんだなって思いました。
あと、2008年現在の日露の外交がどうなっているのか知りたいと思ったのと、ロシア側からみた北方領土の問題も知りたいと思います。
靖国神社問題は、攻められる側、北方領土シベリアの抑留問題に絡めて攻めて良い問題だと思うのですが、興味関心は断然の違いがある。
何が、違うのかな?とか、色々考えました。

一番感じた事は、この両著作を読むことで、“仕事”に取り組む個人と、組織、時節等の“環境”をどう解釈し、行動していく事ができるのか、感じるところが多い本でした。

両者からは、完全なプロ意識はもちろんの事、自分の人生を賭す覚悟を感じる。
先日、人生の無意味に思い至ったというような事を書いたけれど、そのような諦観を底に抱えながら、その上に何かを築いていく作業なのだと思う。

佐藤氏は、神学校を出たクリスチャンである。
彼の思考、信念についても詳しく知りたいと思い、次の読書は「国家と神とマルクス」(太陽企画出版、2007年)に決めた。