芸術作品

ファイアボール・ブルース〈2〉 (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋
売り上げランキング: 223388
おすすめ度の平均: 4.0
3 前作は良かったのですが……
5 力強く、せつないラスト
3 前作を上回る出来
3 女子プロレス界のドラマ
5 「あとがき」がたまらなく良い



宮部みゆきさんの文章が、精密な切り絵ならば、桐野夏生さんの文章は精密な写実絵画です。

両者とも、精密である事は変わりありません。ただ、その目指すところが違うのでしょう。桐野作品は徹底的な写実なのです。そこに、人が生きています。時に怖いほど、リアルに人が生きています。
宮部作品は、そこに人がいます。しかし、どこか舞台を見ているような気持ちの良い距離感があるのです。

この作品は、女子プロという結構マイナーな世界を描いているにも関わらず、そこに悩む新人女子プロレスラーが生きているのです。悩み、憧れ、立ち止まっているのです。


この写実の作業も、コツコツと桐野さんが作業して描き出しているのでしょう。



ふ、と思い出しました。ダウンタウンの松本さんの方が、何でCMを何時間も掛けて何テイクもとるのか解らん、って言っていました。
共感した事を覚えています。一回撮影した物を放送したとしても、受け取り側は解らないのではないか、と。
でも、ここ数週間違うんだろうな、と思います。



その何テイクも撮った事が、どこかに出るのでしょう。


たぶん、何か行動するという事は結果や成果物にだけではなく、行為者の内面も含めて伝わるのではないかと思いました。
どのような形なのか解りません。結果や、成果物に現れる、と気安く言うつもりはありません。もしかしたら、漂うものなのかもしれない。結果や、成果物の周りに空気として漂うのかもしれない。

そう考えるようになりました。


仕事も、同じく。仕事で出す結果や成果物の周囲に漂う空気。これが大切なのではないかな。それは、プロセスが大事だよという言葉などに置き換えられているのかも知れないな。



まぁ、良いや。



また明日も一日積み重ねます。


おやすみなさい。